田舎に移住する理由の1つに『子育て』があります。
一般社団法人移住・交流推進機構(JOIN)が地方移住に興味がある500人を対象に行ったアンケートによると、以下のような結果があります。
- 移住に興味がある理由
⇒1位:自然にあふれた魅力的な環境(50.2%)
⇒2位:子育てに適した自然環境(33.4%)
⇒3位:子どもの教育・地力・学力向上(22.2%) - 移住先の子育て環境で重視する条件
⇒1位:自然とのふれあい(43.0%)
⇒2位:学力・地力の向上ができる教育環境(26.8%)
⇒3位:子どもが楽しめる施設・公園(25.2%)
確かに、豊かな自然の中で子育てをすると、子ども自身が積極的に考えるようになり、創造力が豊かになるといわれています。
僕もこの意見には納得です。
しかし、メリットの裏にはデメリットが付きもの。
今回は、子育てを理由に移住したい方に向けて、『田舎で子育てをするときに知っておいてほしいこと』を3つ紹介します。
念のためですが、僕は移住と田舎暮らしを否定しているわけではありません。
あくまで『田舎にはこんな現実があるから、事前に知っておいてね』という気持ちでこの記事を書いています。
移住の参考になれば幸いです。
この記事を書いている人
- 岡山県真庭市の移住コンシェルジュ
- 岡山市から真庭市への移住者
- 高校は岡山市内のとある普通科高校
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目次
子育て世代の移住者に知っておいてほしい田舎の”高校事情”3つ
田舎に移住して子育てしたい人に知っておいてほしいこと。
それはズバリ、”高校事情”です!
他の移住情報サイトではあまり書かれていませんが、僕の周囲では頻繁に言われています。
①選択肢が少ない
僕が真庭市に移住して驚いたことは、『高校の選択肢が少ない』ことです。
試しに僕の出身である岡山市南区と現在住んでいる真庭市久世で、通える範囲の高校の数を比較してみました。
岡山市南区 | 真庭市久世 | |
公立普通科 | 11 | 3 |
専門科 | 7 | 5 |
私立 | 14 | 1 |
市立 | 1 | 0 |
岡山市も「地方都市」なので、東京や大阪に比べると多いわけではありません。
でも、”選択の余地”はありました。
僕も高校進学のとき、同じような偏差値の高校を3つ、進学候補に挙げていました。
(岡山は公立指向が強いため、私立は選択肢にありませんでした。)
でも、真庭市の場合、普通科に行こうと思えば以下のようになります。
- 偏差値60前後の地域のトップ校
- 偏差値50前後の2番手校
- 偏差値40前後の3番手校
まず、同じくらいの偏差値の高校を比較することはできません。
また、受験校を1ランク下げるとしたら、偏差値が10前後下がってしまいます。
岡山市だと、1ランク下げても5程度です。
さらに、少子化・過疎化の影響で、3番手校は普通科がなくなります。
今後は統廃合も進むでしょう。
私立高校も今までは2校でしたが、1校は移転してしまいます。
高校受験は将来の選択肢の第一歩。
そこですべてが決まるわけではありませんが、ある程度の方向性は定まるでしょう。
安易に田舎に移住すると、「子どもの将来の選択肢を狭めてしまうかもしれない」ということを知っておきましょう。
②通学が不便
田舎は以下の理由で通学が不便です。
- 駅まで遠い場所が多い
- 電車(汽車)やバスの本数が少ない
まず、田舎は都会のように鉄道密度が高くないため、駅まで遠いことがほとんどです。
そのため、場所によっては親が駅まで送迎する必要があります。
真庭市でも、JR姫新線の駅が近いのはごく一部。
それ以外の場所では、朝晩の送迎が必須でしょう。
具体的には、以下の図の赤色の範囲は駅まで自力で通学可能。
それ以外の場所は親の送迎が必要です。
※あくまで筆者の主観です。違ったらごめんなさい。

また、電車(真庭市は汽車)やバスの本数も極端に少ないです。
真庭市の場合、通学時間帯の汽車は始発と7時前後の計2本、バスは1本しかありません。
仮に駅まで送迎するとしても、そのまま仕事に行ける時間に汽車があるとは限りません。
時間のやりくりも大変です。
もし移住候補地をいくつか挙げているなら、その地域の公共交通機関の時刻表を見て、シミュレーションすることをおすすめします。
③寮or下宿という選択肢もある
高校の中には「寮」があるところもあります。
通学が大変な地域に住む場合は、高校から寮に入ることも選択肢の1つです。
真庭市でも北部の地域は通学が大変なので、寮に入る高校生も多いと聞きます。
中には下宿をして、寮のない岡山市内の高校に通う方もいます。
月々の寮費や生活費は必要ですが、通学費や通学に要する時間を考えると、寮や下宿も田舎では選択肢に入ってきます。
一般的な「田舎で子育てするメリット」は幼少期~小・中学校
ここまで田舎の高校事情がいかに大変かについて解説しました。
しかし、田舎で子育てするメリットがあるのも事実。
具体的には、以下の点が挙げられます。
- 自然が豊かで遊ぶ場所が多い
- 地域の見守り機能が強く、治安が良い
- 待機児童が少ない
これらのメリットは紛れもない事実です。
確かに田舎は遊ぶ場所が多いし、地域全体で子どもたちを見守る雰囲気があります。
保育園でも、都会のように待機児童が発生することは少ないです。
しかし、どのメリットも”幼少期から小中学校の子育て”に関するメリットである点に注意が必要です。
高校生になると、遊びの内容が変わってきます。
都会への憧れが強くなる子もいるでしょう。
また、通学時間帯が変わるため、地域の見守り機能も微妙なところ。
「田舎は子育てに良い」といっても、それが”どの年代のことを指しているのか”見極める必要があります。
理想ばかり見るのではなくて、現実も知ってから移住してね
今回はあえて田舎暮らしの負の面を紹介しました。
冒頭でも述べたように、僕は田舎暮らしや移住を否定するつもりはありません。
無計画に移住して「こんなはずじゃなかった」という思いをしてもらいたくないのです。
理想を追い求めることは大切です。
しかし、現実もしっかり見ておきましょう。
移住の成功のポイントは、地盤を固めたうえで理想を掲げること。
事前に移住の目的を明確にし、しっかりと情報収集したうえで移住してくださいね。

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