こんにちは。
フジモトです。
あなたは岡山県にどんなイメージをお持ちですか?
- 晴れの日が多い
- 台風が少ない
- 冬でも温暖
と、天気に関するイメージがある方も多いでしょう。
岡山県は「晴れの国」と呼ばれているので、それも頷けます。
しかし、僕の住んでいる真庭市は、意外と雨が多いのです。
だから「岡山県って晴れの日が多いんでしょ?」と聞かれても「晴れの国は南部だけですよ」と説明しています。
でも、本当に真庭市は晴れの国ではないのでしょうか?
感覚的には「雨が多い」と思っていても、データで示すと違うかもしれません。
そこで今回は、真庭市は晴れの国なのか、気象庁のデータを用いて検証してみました。
また、岡山県の中で”真の晴れの国”はどこかについても検証しています。
岡山県への移住を考えている方はぜひチェックしてみてください。
なお、あくまで”個人的な見解”です。
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岡山県はなぜ「晴れの国」?
「晴れの国」は、岡山県のキャッチコピーです。
県の広報活動で、平成元年より呼び始めました。
「晴れの国」の由来は”降水量1mm未満の日数が日本一だから”です。
降水量1mm未満の年間日数の平年値(過去30年の平均値)を示すと、以下のようになります。
降水量1mm未満の年間日数ランキング
順位 | 都道府県 | 観測地点 | 日数 |
1 | 岡山県 | 岡山 | 276.7 |
2 | 山梨県 | 甲府 | 276.1 |
3 | 兵庫県 | 神戸 | 271.7 |
4 | 広島県 | 広島 | 270.8 |
5 | 埼玉県 | 熊谷 | 269.3 |
6 | 香川県 | 高松 | 269.1 |
7 | 和歌山県 | 和歌山 | 267.8 |
8 | 徳島県 | 徳島 | 267.2 |
9 | 大阪府 | 大阪 | 266.8 |
10 | 大分県 | 大分 | 266.6 |
全国平均 | 247.4 |
出典:降水量1mm未満の日数(平年値)(全国)(岡山県ホームページ)
2位の山梨県にわずかな差をつけて、岡山県が1位!!
ちなみに年間降水量は1,143.1mmで長野県に次ぐ全国2位。
日照時間はやや少なく、2,033.7時間で全国15位。
ただし全国平均の1,915.9時間は上回ります。
これらのデータから、岡山県は確かに晴れの日が多く、「晴れの国」と呼ぶにふさわしいでしょう。
出典:降水量(平年値)(全国)(岡山県ホームページ)
日照時間(平年値)(全国)(岡山県ホームページ)
「岡山県の降水量1mm未満の年間日数は、引き続き全国最多です」岡山県統計分析課
真庭市は「晴れの国」なのか検証してみた
しかし、「岡山県」として出ているデータの観測地点は「岡山市」です。
岡山市は岡山県の県庁所在地なので、代表地点となるのも頷けます。
でも、岡山市から遠く離れた真庭市は本当に「晴れの国」といえるのでしょうか?
ここから徹底的に検証していきます。
「晴れの国」の定義
まずは本記事における「晴れの国」を定義したいと思います。
岡山県の”晴れの国に関するwebページ”には、以下の3つのデータが掲載されていました。
- 降水量1mm未満の年間日数
- 年間降水量
- 年間日照時間
今回は、これら3つを「晴れの国の構成要素」とします。
では、3つの指標が何を満たせば晴れの国といえるのか?
以下のように定義したいと思います。
- 降水量1mm未満の年間日数:270日以上(全国上位5位以内)
- 年間降水量:1,200mm未満(全国上位5位以内)
- 年間日照時間:2,000時間以上(全国上位20位以内)
「降水量1mm未満の年間日数」と「年間降水量」は、岡山市が全国上位なので「5位以内」としました。
一方で「年間日照時間」は、岡山市は平均より100時間ほど多いだけ。
そのため、キリのいい「2,000時間」を目安としました。
検証方法
検証に使うデータは、気象庁の「過去の気象データ検索」を用います。
こちらは都道府県の観測地点ごとに、1976年以降のデータを検索できるwebページです。
この中から、真庭市のデータを抽出します。
なお、真庭市は南北に長いため、南部・中部・北部で気候に違いがあります。
そのため、気象庁の観測地点の中から「下呰部(しもあざえ)(南部)」「久世(中部)」「蒜山上長田(北部)」の3地点のデータを用います。
結果発表
気象庁の「過去の気象データ検索」から真庭市内の観測地点のデータを抽出すると、以下のようになりました。
真庭市の観測地点の晴れの国に関するデータ
観測地点 | 年間降水量1mm未満の日数 | 年間日照時間 | 年間降水量 |
下呰部(南部) | 252.5日(30) | データなし | 1,341.9mm(14) |
久世(中部) | 243.3日(35) | 1,722.9時間(37) | 1,457.2mm(20) |
蒜山上長田(北部) | 193.9日(43) | 1,446.4時間(48) | 2,126.4mm(40) |
※()は「全国ランキングで何位に相当するか」を示す
見事に晴れの国の定義を満たす観測地点はありませんでした。
つまり「真庭市は晴れの国ではない」ことになります。
う~ん。
なんとなく分かっていましたが、いざ数字で示すと無念。
ちなみに蒜山上長田の年間降水量が2,000mmを超えるのは、雪が降るからです。
真庭市北部は毎年雪が積もり、冬場は厚い雲に覆われていることがほとんど。
瀬戸内気候というより、日本海側の気候です。
また、下呰部の年間日照時間に関するデータはありませんでした。
観測地点自体が小規模なため、集めているデータの項目が少ないのでしょう。
他の項目を見ると、南下するに従って晴れの要素が大きくなっていることから、下呰部の年間日照時間は久世より多いと考えられます。
それでも「晴れの国の定義」には当てはまりませんが、下呰部を含む真庭市南部は、真庭市の中では最も晴れの国に近い地域といえるでしょう。
本当の晴れの国はどこか?
では、岡山県内で「晴れの国の定義」に当てはまる地域はどれくらいあるのでしょうか。
県内の観測地点のうち、17地点のデータを抽出してみました。
岡山県内の観測地点の晴れの国に関するデータ
観測地点 | 年間降水量1mm未満の日数 | 年間日照時間 | 年間降水量 |
倉敷 | 273.4日(3) | 2,001.3時間(19) | 1.042.2mm(2) |
笠岡 | 274.5日(3) | 2,110.5時間(7) | 1,055.1mm(2) |
玉野 | 273.2日(3) | 2,187.1時間(2) | 1,038.5mm(2) |
虫明(瀬戸内市) | 271.4日(4) | 2,059.8時間(13) | 1,150.6mm(5) |
高梁 | 262.7日(16) | 1,831.2時間(33) | 1,230.3mm(9) |
矢掛 | 270.0日(9) | – | 1,155.2mm(5) |
和気 | 266.8日(14) | 2,051.5時間(13) | 1,208.1mm(8) |
吉備中央 | 263.9日(14) | – | 1,381.2mm(17) |
赤磐 | 261.2日(18) | – | 1,265.4mm(9) |
福渡(岡山市北区) | 265.4日(12) | 1,962.1時間(24) | 1,249.8mm(9) |
津山 | 257.1日(25) | 1,779.0時間(35) | 1,416.0mm(19) |
新見 | 249.8日(33) | 1,790.5時間(35) | 1,361.1mm(15) |
千屋 | 210.6日(41) | 1,534.1時間(47) | 1,783.5mm(32) |
奈義 | 243.5日(35) | 1,738.3時間(36) | 1,511.0mm(20) |
今岡(美作市) | 237.1日(37) | 1,832.9時間(33) | 1,620.4mm(28) |
富(鏡野町) | 211.2日(41) | – | 2,055.8mm(40) |
恩原(鏡野町) | 187.8日(46) | – | 2,407.8mm(45) |
以上の結果から、「晴れの国の定義」に当てはまるのは次の地域でした。
- 岡山市
- 倉敷市
- 笠岡市
- 玉野市
- 瀬戸内市
これらの地域に共通するのは「瀬戸内海に面していること」です。
つまり、”晴れの国”は「瀬戸内海に面している市町村」といえます。
観測データはありませんでしたが、備前市や浅口市も瀬戸内海沿岸の地域なので”晴れの国”かもしれませんね。
データの在処をご存じの方、見つけた方は教えてください。
まとめ
真庭市は晴れの国なのか、そして岡山県の中で”真の晴れの国”はどこか、気象庁のデータを用いて検証しました。
最後に、今回の内容をまとめておきます。
- 真庭市は晴れの国ではない
- 真の晴れの国は瀬戸内海に面している地域(岡山市・倉敷市・笠岡市・玉野市・瀬戸内市)
実際に数値で示してみると分かりやすいですね。
今回はあくまで”晴れの国”の観点から検証しましたが、岡山県は地域ごとに豊かな特色があります。
岡山県南部は一年を通して穏やかな気候が特徴で、晴れの日が多く過ごしやすいです。
一方の岡山県北部は、南部に比べると晴れの日は少ないですが、四季折々の自然が美しい地域です。
穏やかな気候を求めて岡山県に移住をお考えの方は、ぜひ瀬戸内海沿岸の地域を重点的に情報収集してみましょう。
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