田舎に移住して、古民家をリノベーションして、自分に合った暮らしを実現したいんだよね。
でも、古民家暮らしって簡単に実現できるの?
メリットは何となくわかるけど、デメリットや注意点は?
このような疑問や悩みに応える記事です。
この記事でわかることは以下の通りです。
- 古民家暮らしのメリット・デメリット
- 古民家を選ぶときの注意点
- 古民家の探し方
「移住したら古民家をリノベーションして暮らしたい」という移住相談は多いです。
しかし、理想の古民家暮らしは、そう簡単に実現できるものではありません。
古民家暮らしはメリットが多い一方で、デメリットや選ぶ際に注意すべきポイントも多いからです。
この記事では、そんな古民家暮らしについて紹介しています。
古民家暮らしに憧れている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いている人
- 岡山県真庭市の移住コンシェルジュ
- 移住当初は畑付きの古民家に暮らしていた
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目次
古民家とは
そもそも「古民家」とはどんな物件のことを指すのでしょうか?
一般社団法人全国古民家再生協会によると、以下のように定義されています。
昭和25年(1950年)の建築基準法の制定時に既に建てられていた伝統的建造物の住宅
出典:一般社団法人全国古民家再生協会
とはいえ、実際は「古めの日本家屋」のことを「古民家」と呼ぶ場合が多いです。
古民家はたくさんの木材を使い、金具を使わず、木と木を組み合わせて造られているのが特徴です。
また、屋根は瓦や茅葺き、床は畳や無垢材、壁は土が使われるなど、自然素材がふんだんに使われています。
古民家暮らしのメリット
古民家暮らしのメリットは以下の5点です。
- 間取りが広い
- 安く購入できる
- 夏は涼しい
- 固定資産税が安い
- 自分らしい暮らしを楽しめる
それぞれについて、詳しく解説します。
間取りが広い
昔は大家族でひとつの家に住むことが普通だったので、古民家の多くは間取りが広くなっています。
そのため、ゆとりある空間で、ゆったりとした暮らしを楽しむことができるでしょう。
また、それぞれの部屋が襖で区切られているので、「普段は襖で区切る」「来客時は襖を開けて広くする」など、状況に応じて部屋の広さを調整することもできます。
居間が非常に広い古民家の場合、その広さを活かして古民家カフェを経営するなど、工夫次第でさまざまな運用も可能です。
安く購入できる
古民家は、一般的な中古物件と比べると安く購入できます。
不動産の価格は「土地の価格+建物の価格」で決まります。
古民家があるような土地は市街地から離れている場合が多いため、土地の価格は安くなりがちです。
また、建物は古くなればなるほど資産価値が下がるため、築何十年も経過している建物の価格はかなり安くなります。
以上の理由から、古民家は安く購入することができるのです。
夏は涼しい
古民家の多くはエアコンが普及していない時代に建てられているので、暑さ対策がしっかりしています。
具体的には以下の通りです。
- 茅葺き屋根:熱の侵入を防ぐ
- 長いひさし:窓から入る日差しを防ぐ
- 木材:コンクリートや金属に比べ断熱性が高く、外気の影響を受けにくい
近年は気候変動の影響で古民家でも夏はエアコンが必須ですが、それでもコンクリート製の住宅に比べると涼しいです。
固定資産税が安い
固定資産税は、築年数が古ければ古いほど減額されます。
建物は古くなると資産価値が下がるため、それに応じて税率を引き下げるのです。
固定資産税は、建物の固定資産税評価額の1.4%です。
しかし、古い建物であれば、最大で0.2%まで減額されます。
築25年以上経過した建物の多くは0.2%まで減額されているため、ほとんどの古民家は固定資産税が安くなります。
自分らしい暮らしを楽しめる
古民家をリノベーションすると、自分の理想の暮らしを実現できます。
古い造りや広い空間を活かしながら、現代のライフスタイルに合わせて改修すると、より住みやすくなるはず。
例えば、細かく区切られた部屋を1つの空間にすれば、開放的な空間でゆったりと過ごすことができます。
キッチン・リビング・ダイニングを1つにすれば、子どもの様子を見ながら料理をすることもできるでしょう。
このように、自分のライフスタイルに合わせて改修できるのは、古民家暮らしの1つの魅力です。
ただし、リノベーションするには大家さんの許可が必要なので、事前に確認しておきましょう。
古民家暮らしのデメリット
一方で、古民家暮らしには以下のデメリットもあります。
- 冬は寒い
- 耐震性に不安がある
- 木造なので火災が怖い
- 虫が出やすい
- 住める状態になるまで時間がかかることがある
それぞれについて、詳しく解説します。
冬は寒い
古民家は気密性が低いため、冬は寒くなりがちです。
断熱材は施工されていませんし、土壁からは隙間風も吹き込みます。
そのため、冬は暖房費がかかることがほとんどです。
しかし、リノベーションをすれば、冬でも暖かく過ごすことは可能です。
耐震性に不安がある
日本は地震の多い国です。
耐震基準も1981年に改正され、現在の基準になりました。
しかし、古民家の多くは古い耐震基準の時に建てられています。
そのため、万が一大地震が発生すると、新基準で建てられた建物よりリスクが大きいといえます。
最悪の場合、倒壊も起こりうるでしょう。
そのため、リノベーションを行う際は、耐震工事も検討しておきましょう。
費用面で心配な方は、自治体の補助金制度も活用してみてください。
木造なので火災が怖い
古民家は木造住宅なので、火災に弱い点がデメリットです。
部屋も広いため、火事に気づいたときにはかなりの部分に延焼していることもあります。
茅葺き屋根の場合はさらに燃えやすく、全焼のリスクもあります。
そのため、住宅用の火災報知器を設置するなど、火災対策をしっかりしておきましょう。
虫が出やすい
古民家は虫が出やすいです。
特に注意しなければならないのが「白アリ」です。
白アリは木造住宅を好みます。
さらに、古民家は築年数が古いので、今では当たり前の防蟻処理もされていません。
そのため、古民家は白アリが発生しやすいのです。
リノベーションの際に防蟻処理して、白アリが発生しにくいようにしておきましょう。
ちなみに、私が古民家に暮らしていた頃は、カメムシをよく見かけました。
寒さを凌ぐために、わずかな隙間から家の中に入ってくるのです。
最初は驚きましたが、対処法を身につけてからは、難なく片付けられるようになりました。
住める状態になるまで時間がかかることがある
すぐに住める状態の古民家はほとんどありません。
- 水回りが古い
- 寒さ対策が必要
- 耐震性が不安
など、住むにあたって見直さなければならない部分があることが大半です。
特に耐震工事は構造部分から見直す必要があるので、時間がかかります。
そのため、古民家暮らしを始める際は、余裕を持った計画を立てておきましょう。
古民家を選ぶときの注意点
古民家を選ぶ際は、以下のポイントに注意してください。
- 水回りは要チェック
- 屋外の空きスペースの広さを確認しておく
- 購入やリノベーション用の資金を確保しておく
- 自分たちでリノベーションできる部分とプロに任せる部分を見分ける
それぞれについて、詳しく解説します。
水回りは要チェック
多くの古民家は、キッチンやトイレ、お風呂といった水回りが古くなっています。
現代の建築構造に慣れている方にとっては、かなり不便を感じます。
実際、私が住んでいた古民家も”汲み取り式トイレ(通称「ぼっとんトイレ」)”だったため、業者にお願いして簡易水洗に変えました。
水回りが古いと感じたら、専門業者にお願いして改修するのがおすすめです。
屋外の空きスペースの広さを確認しておく
敷地が広い場合、屋外スペースがどれくらい広いか、確認しておいてください。
屋外スペースが広すぎると、夏の草刈りが大変だからです。
私が古民家で暮らしていた頃も、屋外スペースの一部を畑として使っていました。
しかし、広すぎて全てを畑として使うことができず、畑以外は草が生え放題に。
草刈りをするのに2時間以上かかりました。
終わった頃には、全身が汗でびっしょりでした。
屋外スペースが広いと、畑や駐車場、趣味スペースなど、工夫次第では楽しく使うことができます。
しかし、特に目的がない場合、屋外スペースはほどほどにしておいた方が良いでしょう。
購入やリノベーション用の資金を確保しておく
当然のことですが、古民家の購入やリノベーションにはお金がかかります。
そのため、ある程度の資金を確保しておきましょう。
古民家の状態や規模にもよりますが、購入には200万〜1000万、リノベーションには300万〜500万円ほど必要です。
デザインや素材、設備にこだわる場合は、リノベーションで1000万円以上かかる場合もあります。
まずは気になる古民家を内見し、どの程度の費用が必要か確認しましょう。
そして購入・リノベーションのために資金計画を立てます。
資金計画を立てずに購入・リノベーションを進めてしまうと、予算が足りずに中途半端な仕上がりとなり、結果的に住みにくくなってしまうリスクがあります。
快適に暮らすためにも、必ず資金計画を立ててから購入・リノベーションに踏み切りましょう。
ちなみに、自治体によっては古民家の購入・リノベーションに補助金を出しているところもあるので、ぜひチェックしてみてください。
自分たちでリノベーションできる部分とプロに任せる部分を見分ける
建物のリノベーションでは、当然素人にはどうしようもない部分があります。
代表的なのが水回りです。
水回りの改修には専門的な技術が必要なので、プロに任せた方が確実です。
一方で、床を張る、土壁を作るといった作業は、素人でも可能です。
YouTubeを見ながら実践すれば、それなりのものができるでしょう。
内見の際に、自分たちで直せそうな部分とプロに任せた方が確実な部分を確認しておきましょう。
古民家の探し方
古民家を探す際は、不動産会社のWebサイトや自治体の空き家バンクを活用しましょう。
傾向としては、売買物件が多く、賃貸物件は少なめです。
そのため、賃貸の古民家を希望する場合は、こまめに情報を確認して、掲載されればすぐに内見予約を入れるような意識が必要です。
まとめ
「田舎に移住して、古民家をリノベーションして、理想の暮らしを実現したい」という移住希望者は多くいます。
しかし、思い付きで行動するのは危険です。
まずは古民家暮らしについて、情報を集めてください。
インターネットや雑誌はもちろん、実際に古民家暮らしをしている先輩移住者に話を聞くのもおすすめです。
そして、ある程度情報が集まったら、実際に内見に行ったり、資金計画を立てたりと、具体的な行動に移ってみましょう。
コツコツと着実に進められれば、あなたの理想の暮らしを実現できる古民家に出会えるはずです。